営農指導はJAの存在意義であり財産 その2(残留農薬検査)

そこで、多くのJAでは、そういう地域を徹底して調べて、それを学んで普及し、思い切った対策を打ち出していこうという取り組みを行っているし、担い手に対しては、専門営農指導員が相談や指導に当たるという方向ですすめている。

ところで、全国のJAの経常利益の総額は平成16年度で2000億円くらいである。

JAが抱えている営農指導員は全国で約1万5000人であり、その経費は1200億円である。

要するに、営農指導の経費がなかったら3000億円近い利益が上がっているかもしれない。

しかし、やはり営農指導をやった上でJAが存在している。

だからその営農指導を、いったいどのように機能を高めて効果的なものにして、地域から評価されるものにしていくかということが相変わらず最大の課題であり、1200億円かけて1万5000人の営農指導員を雇って、これだけのことができる機関といえば、たぶん、いまのところはJAしかない。

だから、その機能をフルに発揮せねばならない。

残留農薬検査

営農指導はJAの存在意義であり財産 その1(残留農薬検査)

最近、JAの営農指導員の力が弱ってきているということが指摘されている。

営農指導員の数も減ってきており、むしろ、しっかりした担い手のほうが技術的にも上をいってしまうため、もうJAの営農指導員が期待されていないという事態も一部で生じている。

コメの生産調整が、JAの営農指導員の意欲や技術力の向上にマイナスに働いたと思うし、いろいろな事務ばかりに押されて大事なことができなかったということもある。

いずれにしても、営農指導の問題をどのようにするかがJAにとって一番の課題である。

全国でもいくつかの地域で、信用事業や共済事業に頼らずに営農指導事業と経済事業でちゃんと黒字を実現しているというJAもある。

もちろん、地域で特産物を持っていたり、伝統的に販売力を高めてきたという地域が多い。

残留農薬検査

市場原理で構造改革はすすまない その5(残留農薬検査)

4つめは、「天才が出てこなければいけない」ということ。

「学問、文化、芸術、これが大変大事なのだ。

市場原理主義では天才は出てこない。

まさに世界を救うのは日本人だ」と。

ともかく数学者でここまでおっしゃって、そしてこの本がものすごく売れているということに、農業とか農村や地域に対する見なおしの気持ちや、大事にしなければいけないという危機感が出てきていると思うのである。

国民のなかにそういう思いが広がってきているのではないだろうか。

このような力をバネにして、コメの先物取引の話にしても、生産調整をやめて自由にしろという話にしても、あるいはWTOにしてもFTAにしても、早く農業で妥協しろというようなことや、株式会社の農地所有による参入が必要という動きに対して、「それは間違いだ」と声を大にして言えるようにしていかなければいけない。

残留農薬検査

市場原理で構造改革はすすまない その4(残留農薬検査)

3つめは、「美しい田園だ。

金銭至上主義に侵されていない、美しい情緒があること。

これが大事なのです」と。

「美しい田園があるということは、農民が泣いていないということなのだ。

美しい田園があるということは、経済的に最もしわ寄せを受けやすい農民にまで心が配られているということなのだ。

かつての日本は本当に美しくて、そして明治維新以降、何人もの外国人が日本に来たではないか。

来た彼らが異口同音に、日本の田舎の美しさを表現しているではないか。

田園が乱れていることは恥ずべき姿だ」といっている。

残留農薬検査

市場原理で構造改革はすすまない その3(残留農薬検査)

さらに、品格のある国家をつくるためには、4つ指標があるとしている。

1つめは、「国家が独立していなければだめだ」ということ。

彼は数学者だから農業経済学者でもなんでもないのだが、わが国のような極端に低い食料自給率では独立しているとはいえないとしている。

2つめは、「高い道徳が必要だ。

卑怯なら卑怯、下品な話は絶対にだめだ。

母親は子供に、卑怯とか下品は理屈がない、卑怯なものは卑怯なのだということを教えなければだめだ。

殴ってでもいいから、卑怯なことはだめだと教えること」といっている。

残留農薬検査

市場原理で構造改革はすすまない その2(残留農薬検査)

「自由競争、市場原理主義、国際化(グローバリゼーション)、ましてや自由平等、個人主義、これらの思想は何もずっと、歴史がはじまって以来あった思想ではなくて、キリスト教のカルビニズム、カルバン主義が産業革命以来1つの有力な力になって、プロテスタントとしてアメリカで花開き、アメリカのーつの思想になっている。

いうなればこの思想は、歴史のなかでは最近のごく一部だけの事象である。

現にいま日本ではびこっている、何とかドアの何とかモンさんのことについても同じ考えで、彼が逮捕される前にはすでに、市場外取引という姑息な手段で儲かればいい、金が一番という金銭至上主義に陥っている。

絶対に私は認められません」とおっしゃっている。

残留農薬検査

市場原理で構造改革はすすまない その1(残留農薬検査)

いろいろな理由から、農業者は少数派になっている。

そして、市場原理主義と市場開放、国際化のなかでどこへ行くのかと問われている。

農政改革も担い手集中も、もちろん前向きな方向もあるが、大きな観点からいえば国際化、市場原理導入の一環である。

ところで『国家の品格』(新潮新書)という本がベストセラーになった。

筆者は、山岳作家新田次郎さんと作家の藤原ていさんの息子さんで、お茶の水大学の数学の先生である藤原正彦氏。

ご紹介させていただく。

残留農薬検査

食料純輸入国と強く連携 その4(残留農薬検査)

日本が上限関税になぜ反対したかというと、関税の上限設定は、数字の議論はまったくなかったものの、いったんこれがルールになると、どんどん下げられて、結局、アメリカが主張するスイス・フォーミユラ(アメリカは上限25%の関税率を当時主張)になってしまうからである。

これでは、わが国のコメをはじめほとんどの主要な農産物はまったく競争力がなくなり、外国産に席巻されてしまうわけで、関税上限設定案を受け入れることは絶対にできなかった。

こうした事情は、他のG10の国々も同様であった。

残留農薬検査

食料純輸入国と強く連携 その3(残留農薬検査)

一方、わが国をはじめ韓国、ノルウェー、スイス等10ヵ国の食料純輸入国は、ウルグアイ・ラウンド合意で関税化した高関税品目を抱えていることもあり、G10を組織し、国内の農業生産を守るために、①上限関税を撤回すること、②これ以上の輸入枠の拡大は義務化しないこと、③国内農業生産が持っている国土保全等の多面的機能や食料安全保障などの非貿易的関心事項を具体化し、食料純輸入国への配慮を新たな貿易ルールとすること、を主張した。

なお、G20としてグループをつくってアメリカやEUと対立したブラジル、中国、インド、タイ、南米諸国等の途上国は、先進国の国内補助金や輸出補助金に反対するとともに、自国の農産物を輸出したいために、それを制約する高関税についても大幅引き下げを要求し、日本をはじめとするG10の主張にも賛成しなかった。

残留農薬検査

食料純輸入国と強く連携 その2(残留農薬検査)

というのは、途上国には、ウルグアイ・ラウンド合意以降、先進国の輸出補助金や国内補助金に支えられた農産物の輸出拡大で、途上国の数少ない輸出品である農産物の輸出市場が侵食され、果ては国内の市場も荒らされ、貧困の解消どころか貧困の拡大が生じているという思いがあったからである。

ましてや、投資の問題等でさらに被害をこうむるのはかなわないという思いだったとみられる。

とりわけ、アメリカの補助金に支えられた綿花の輸出拡大で大きな被害をこうむっているアフリカの諸国が反発し、綿花問題が象徴的な問題として取り上げられた。

残留農薬検査

食料純輸入国と強く連携 その1(残留農薬検査)

平成15年9月に開催されたメキシコ・カンクンにおけるWTO閣僚会議は、平成17年1月までの合意をめざして主要な交渉の枠組み(モダリティ)を決定する最大の山場であったが、結局は決裂に終わった。

農業問題の本格的な議論に入る前にシンガポール・イシューといわれた先進国の関心が強い投資ルール、競争政策、政府調達の透明化、貿易円滑化の4分野の問題で途上国が激しく反発し、全体の合意が見込めなかったためである。

また、焦点だった農業問題についても、途上国と先進国、さらにはわが国のような食料純輸入国が対立し、合意は難しかったとみられる。

残留農薬検査

大きな財政負担 その4(残留農薬検査)

米プラス他の作物という経営を農家単位、または地域単位でつくり上げ、定着していく構造をつくることがどうしても必要である。

そのためにどんな生産形態を想定し、農地の利用はどうするのか、価格の維持をどうはかるのか、総体としての経営をどう維持させるのか、そのために必要な経営所得安定等の対策をどうするのか、まさに貿易問題とも関連づけた政策の確立と政策転換が必要なのである。

また、食の安全・安心を確保するためには、化学肥料に替わる有機肥料が必要であるが、わが国の古来の農業は有畜農業として、家畜糞尿の堆肥が豊かな土づくりを行っていた。

水田地帯と大家畜地帯が有機的に連携する耕畜連携のシステムを意識的につくり上げる必要がある。

残留農薬検査

大きな財政負担 その3(残留農薬検査)

もちろん、そうした特別の品目がたくさんあるのでは、国際的な支持を得ることはできないし、まったく輸入を許さず、多様な消費を求める声、たとえばその国のコメがほしいという外国人の需要まで拒否することはできないだろう。

また、特別品目だからといって、品質や生産性を向上させる努力がされないようでは国民的な支持も得ることはできない。

国内の生産や価格形成で競争が働くことは必要である。

さらに、いつまでも何十%という生産調整を続け、つねに助成金が出ているという構図も、国民的な支持を得るのが難しくなっている。

残留農薬検査

大きな財政負担 その2(残留農薬検査)

このうち10万トン程度は業務用等で国産のコメと混ぜる形で主食に入っているとみられるが、残りは味噌や醤油等の加工用へ、そして大半は在庫として残っており、かつては災害や食料支援としてインドネシアや北朝鮮へ援助された。

当然のことながら大きな財政負担を伴っている。

その国の主食であって、その生産が国土保全や環境や景観の維持をはかることにつながり、かつ食料安全保障の観点からも、その国が選んだ特別の品目は、関税の引き下げや輸入枠の拡大の例外となる措置が講じられてしかるべきである。

残留農薬検査

大きな財政負担 その1(残留農薬検査)

農地は大切な財産であり、いずれ住宅や道路に転用できると考えると簡単に売れるものではない。

国民の食料を供給する大事な国民の財産であるとの観点に立ち、農地を農地として守り、社会的・公共的に利用するという仕組みをつくり上げることが必要なのである。

コメの生産調整を行いながら、一方でコメの輸入拡大が迫られる、という事態は到底認めるわけにはいかない。

現在でも40%の生産調整を行いながら、7・2%、77万トンのコメの輸入を義務として受け入れている。

残留農薬検査