さまざまな分野で輸入農産物や食品に多くの問題があることが明らかになっていますが、それでは、国内産はどうでしょうか。
輸入農産物とともに国内産の検査をおこなっている東京都食品検査センターの調査結果をみてみましょう。
この調査によれば、93年度の農薬検出率は36・1%、94年度の検出率は20・0%と報告しています。
このうち、くん蒸に使用される臭素化合物のみを検出した品目を除くと、検出率は93年度で14・5%、94年度で11・5%です。
この数字だけを見れば、輸入農産物の残留農薬検査の結果とあまり変わらないといえます。
少しくわしく東京都食品検査センターの調査結果をみてみましょう。
国内産の食品に関する94年度の検査結果は以下のような特徴を持っています。
①やはり、輸入農産物の残留農薬は高い
検査対象の食品は90種類、581品目、検査対象農薬は104種類で、農薬が検出された農産物は46種類、116品目(20%)、検出した農薬は1=種類と報告されています。
昨年度の輸入農産物からの農薬検出率は26%ですが、検査対象農薬が67種類と国内産よりずっと少ないことを考えると、やはり輸入農産物の汚染レベルの方が高いと考えられます。
②ポストハーベスト農薬は輸入農産物よりずっと少ない
検出された21農薬のうちポストハーベスト農薬は4種類(19%)であり、輸入農産物の場合(56%)とくらべずっと少ないといえます。
③基準値をこえた6つの農薬
食品衛生法による残留農薬基準をこえたのは、登録保留基準をこえたのはのとおりです。
この調査結果をみると、農薬使用量でずばぬけている日本の農産物の安全性問題をもっと考えないといけないと思います。
④食品衛生法の基準のない農薬が3分の1
検出農薬2一種類のうち、食品衛生法による残留基準がない農薬が7種類と3分の1もあります。
輸入農産物の場合も検出16農薬のうち、基準のないものが6農薬、37・5%ですから、国産、輸入品ともに検出農薬のおよそ3分の1が、食品衛生法に基準のない残留農薬ということになります。
⑤特殊毒性のある農薬が9種類あつた
発ガン性、催奇形性など特殊毒性のある農薬が9種類も検出されています。
クロロタロニル、EPN、ジクロルボス、ジメトエート、フェニトロチオン、チオジカルブ、メソミル、オキサジアゾン、クロルベンジレートです。
このうち発ガン性のある農薬は、クロロタロニル、ジクロルボス、チオジカルブ、メソミル、オキサジアゾン、クロルベンジレートの6種類です。
⑥国産品の安全性も直視を
調査結果をみる限りでは、国産品の場合も農薬汚染が深刻です。
この現実を直視する必要があります。
農作業の労力を省くため殺虫剤、除草剤、殺菌剤など農薬に頼る現在の農業のあり方を変えることが大きな課題であることを、調査結果は示していると思います。
そのためには農業で食える農業政策への転換が、農薬依存型農業からの脱却のカギを握ることを考えなくてはならないと思います。
残留農薬検査