農薬散布が必要かどうか その1

同じアメリカでも、ジャガイモはダイズの5倍近い農薬を使っているし、ブドウは殺菌剤だけでその四倍以上だ。

ブドウだけに限ってみれば、日本はフランスの半分ということになる。

一般に農薬が少なくても栽培できる大豆やトウモロコシは、日本ではほんのわずかしか生産されていないのもよくわかる。

しかし、その大豆にしても、日本はアメリカの2倍だ。

単純に、使用数量と土地面積だけを比べても、あまり意味がなさそうである。

しかし、この説明だけでは、ちょっと不十分だろう。

どんな作物でも、一年間の大まかな栽培の作業スケジュールは、あらかじめ決まっている。

その土地やその年の天候によって時期が多少ズレても、田植えは春だし、収穫は秋だ。

残留農薬検査

もっと危険な物質が自然界に(残留農薬検査)

黒木教授は、フランスのリヨン市に設置されている「国際がん研究機関」(IRAC)に、医務官として勤務した経歴もあり、化学物質による発ガン研究の専門家の一人だ。

多くの人達に、人工的に合成された化学物質に対する、漠然とした不安感は根強い。

かつて、化学工業は、公害産業の代名詞のようにみられた時期があったし、全国的に乱開発による近代化が進んだために、緑や自然が失われたことへの反省や反発から、「自然であることが最善だ」といった考え方が根底にあるのではないだろうか。

しかし、農薬や食品添加物は、現代の化学技術の水準で発ガン性なしと確認されている。

だから、専門家たちは、安全だ、と口を揃える。

だが、専門家たちが「安全だ」と語る理由はそれだけではない。

キケンな合成化学物質の代表のように言われている農薬よりも、もっと危険な物質が自然界に数多くある、ということがわかってきたからでもあるのだ。

残留農薬検査