そこで急浮上する恐れがあるのが、放射線照射で殺虫、殺(滅)菌する方法です。
食品に放射線や電子線などを照射して保存を図ったものが、放射線照射食品です。
昨年、国連の専門委員会は「いかなる食品も10キロ・グレイ(吸収線量の単位で、放射線のエネルギーが人体や物質にどれだけ吸収されたかを示す量)以下の照射は問題ない。
毒性試験をおこなう必要もない」と断定しました。
それ以来、ポストハーベスト農薬の代わりとしての利用もふくめ、世界各国で放射線照射が急速に普及しました。
わが国では、65年に原子力委員会内に食品照射専門部会を設置して研究をすすめ、ジャガイモ、タマネギ、コメ、小麦、ミカン、ソーセージ、水産練り製品の調査を終えています。
現在、ジャガイモの芽止め(発芽防止)だけが認められ、北海道士幌町で照射しています。
放射線照射食品の輸入は、食品衛生法で「原則として」禁止されています。
しかし放射線照射食品がすでに輸入され、食卓にのぼっていると主張する人もいます。
まさかとは思いますが、照射されたものかどうかの判別が困難で、実態は不明です。
91年に1件ずつ輸入で違反がありましたが、いずれも書類やラベルで判明したものです。