もっと危険な物質が自然界に(残留農薬検査)

黒木教授は、フランスのリヨン市に設置されている「国際がん研究機関」(IRAC)に、医務官として勤務した経歴もあり、化学物質による発ガン研究の専門家の一人だ。

多くの人達に、人工的に合成された化学物質に対する、漠然とした不安感は根強い。

かつて、化学工業は、公害産業の代名詞のようにみられた時期があったし、全国的に乱開発による近代化が進んだために、緑や自然が失われたことへの反省や反発から、「自然であることが最善だ」といった考え方が根底にあるのではないだろうか。

しかし、農薬や食品添加物は、現代の化学技術の水準で発ガン性なしと確認されている。

だから、専門家たちは、安全だ、と口を揃える。

だが、専門家たちが「安全だ」と語る理由はそれだけではない。

キケンな合成化学物質の代表のように言われている農薬よりも、もっと危険な物質が自然界に数多くある、ということがわかってきたからでもあるのだ。

残留農薬検査