八十八夜というのは、立春から数えて88日目、5月の1日から2日ごろで、農家にとっては、種まきや野良仕事で忙しい。
お茶の産地の静岡あたりでは、ちょうどこのころが「一番茶」の茶摘みが真っ盛り。
季節感にあふれる歌と言いたいところだが、どうも最近では、この歌詞ほどの風情はない。
「あかねだすきにすげの笠」をかぶった娘さんの姿は、もう見られないだろうし、第一、のどかな手摘みではなく、機械刈りに代わっているのが、最近の実態である。
「けたたましい音を響かせるバリカンのお化けのような機械には、もはや風情のかけらも感じない」と嘆く人も多いが、しかし、機械化による省力効果はすさまじい。