知的所有権の執行 その2(残留農薬検査)

第60条(少量輸入品)は、「旅行者の個人的旅具に含まれるか、少量で送られた商業用ではない荷物を協定の規定の適用から免除してもよい」
と規定し、取扱いを当該国の判断に委ねている。

新協定は、著作権および商標権について差止申立て制度をつくることを最小限の義務としており、他の知的所有権については各国の任意である。

ただし、意匠権、特許権、半導体集積回路配置権および非公開情報について、差止めの申立てがあった輸入品については、通関が一定期間以上差し止められたときは、物品の所有者、輸入者および受取人は、権利者を保護するのに十分な担保を提供すれぽ輸入品を通関することができることとされた。

すなわち、物品自体を通関した上で権利の侵害があったか否かを争うことが可能である。

ただし、通関差止めが司法または独立の行政当局の決定による場合は担保を提供しても通関ができない(第53条)。

前述の4種類の知的所有権に侵害があるかの判断は、比較的長期間を要すると考えられるが、必要な判断が下されるまでの長期間の通関差止めは、輸入者などの利益を著しく傷つける恐れがあるため、この規定が設けられた。

残留農薬検査