さまざまなミネラルが溶けている海から魚介類や海藻を摂取し、また野菜や穀物もまんべんなく食べてきた日本人には、いままでは微量元素が不足するということは考えられないことだった。
しかし、最近は、食品の精製度があがり、微量栄養素は失われている。
精製油、精製塩、精白糖、精白された小麦粉、精白米などの食品がほとんどだから、微量元素の摂取も少なくなってしまうのだ。
精白米よりも玄米、白いパンよりも黒いパン、精製塩より天然塩というように、過度に精白されたものよりも、なるべく自然のものを食べるほうがいいといわれるのも、食物中にふくまれている微量元素が無理なく摂取できるからだ。
日本人は、銅、亜鉛、セレンなどは主に穀物からとってきたが、それは日本の土壌でつくられた食物にはこれらの微量元素がふくまれているからであって、同じ種類の穀物でも輸入食品を食べていると摂取できない場合もある。
食品を考えることは、その食物をつくっている環境条件もふくめて考えるということなのである。