農業を自由化したからといって直ちにそういう認識が変わるわけではないが、大きな前進になることは明らかである。
国際貿易摩擦との関連で一つ具体的な話をすると、日米経済協議は九三年の秋から非常に厳しい交渉が続いて、マスコミ等で大きなニュースになった。
この中でアメリカ側は自動車、自動車部品、保険、政府調達のような分野で、日本の輸入が少なすぎると批判して、日本が輸入する数量あるいは輸入品のシェアを上昇させる、しかも何パーセントまで上昇させるというような目標を定めて、目標の達成を約束すべきである、という要求をしてきた。
これに対して当時の細川首相は、アメリカに「ノー」といって、その時点で交渉は一旦決裂し、話題を呼んだ。
経済学者としては、ノーという判断は正しかったと思う。