戦後の農政は農地解放でスタートした。
それは戦前の農村社会の基盤でもあった大地主制度を崩壊させ、小作農家を解放し農村社会を近代化させた。
それが戦後の教育レベルを引き上げ、都市に農村からの若い労働力を大量に供給したばかりか、豊かな農村社会を形成し、高度成長の中で内需拡大の推進役となった。
立派な家屋と農作業の労苦を軽減する数々の農業機械、それだけでなく都会の家庭をも凌ぐ電化製品の数々、そして一家に数台は珍しくない乗用車。
いずれも戦前には夢見ることすらなかった豊かな農村経済の到来である。
それらの繁栄は農業所得がもたらしたものではない、との指摘は正しい。