ガット第23条運用の実態 その1(残留農薬検査)

1 紛争処理パネルとその役割
2つ以上の締約国の間でなんらかの通商上の争点が生じた場合,自らの利益が損なわれたと判断した締約国は,ガット第23条1項に基づき協議を提案することができる。

その際第22条に基づく協議を経る必要はないが,問題が尖鋭化する前の段階では22条協議を行なうことも少なくない。

関連締約国が23条1項協議に入ったことは限定配布の事務局文書(Limited distributionの”L”をとってL/と表示され,通常「L文書」と呼ぼれる)を通じて全締約国に通報される(なお,現在では紛争処理パネルの報告書はDSI一で表示されるようになった)。

さらに23条1項協議が不調に終わった際,あるいは提訴国が解決を急ぎたい場合で協議の継続に意味を認めなくなった際に,提訴国はやはりL文書で23条2項に基づき締約国団に問題を付託する旨通報する。

残留農薬検査