戦前は農薬の種類も少なく、対症療法のようなものがほとんどでした。
近年の化学合成農薬の多くは戦後になって開発されたもので、とくに1960年代以降、農薬生産量は飛躍的に伸びています。
方、60年に制定された農業基本法の農業近代化路線に沿って、特定地域で集中的に同一作物をつくる規模拡大が進められた結果、病虫害の発生もまた集中することになります。
こうした病害虫の駆除には農薬の多投が避けられず、農薬に頼った経営の仕組み、農薬依存の生産技術体系が固定するようになります。
農薬を多用するにつれて、農薬に対する細菌などの耐性、害虫の抵抗性が強まり、病虫害多発と新農薬開発とのイタチごっこが繰り返されるようになったのです。